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カレーム、200年前の串焼きロースト
カテゴリ:ビーフ
38年前に訪れたロイヤルパビリオンで購入したトルション。1817年の宴会のメニューがそのままデザインされています。
 今では、ローストすると言えばオーブンで焼きます。

 しかし、本来のローストとは串刺しにした塊を薪や炭で炙り焼きにするものでした。
串焼きのローストは「ロティール・ア・ラ・ブロシュrôtir à la broche」と言います。
因みにオーブンでローストするのは「ロティール・オ・フール rôtir au four」です。

 ロンドンから南へ90km離れた避暑地ブライトン(Brighton)にジョージ4世が摂政皇太子時代に、海辺の別荘として建てた王室の離宮ロイヤル・パビリオン(Royal Pavilion)があります。
そこは18~19世紀初頭に活躍した料理人「アントナン・カレーム Antonin Carême 1783-1833」が1817年にジョージ4世のための宴会を催した宮殿です。

 38年程前に見学した時、約200年前の調理場がそのまま残っていて、大きな暖炉があり、その前には塊の肉を串刺しにしてローストする設備が見えました。下には油受けもあります。
ゆっくりと塊肉を回転させていたんでしょう。動力は振り子鳩時計のように、ぶら下げたおもりの重力を利用して鉄串を動かす仕組みだったようです。

カレームは建築学、製菓、料理の知識を駆使して「ピエス・モンテ  pièces montées」(宴会での大きな飾りを作り、そこへ料理や菓子を並べた技法)を確立した偉大なる料理人。
弟子には才能を見込まれ宴会で腕を磨いた「ジュール・グーフェ Jules Gouffé 1807-1877」。19世紀に名声を博し、「ポム・アンナ Pommes Anna」や「鮃のデュグレレ風 Turbot Dugléré」など数々の料理を生み出したレストラン「カフェ・アングレ Café Anglais」の料理長「アドルフ・デュグレレ Adolphe Dugléré 1805-1884」などがいます。

昔、グーフェの料理を辻調のホームページで再現したことがあります。もしよろしければこちら(辻調ホームページ)もご覧ください。
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